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子どもと人形
人形は子どもにとって何でしょう? ぜひ必要なものでしょうか?
人形は子どもになくてはならないものであって、同時になくてもすむものです。
なくてはならないというのは、お母さんや家族との人間関係の中で、自我が目ざめる以前に、心のより所としての自分の分身、写し、安心毛布といった存在を本能的に子どもは求めるからです。
人形がなくてもすむというのは子どもは見立ての名人で、必要とあらば木の枝一つ、布切れ1枚に心を移入して自在に人形を誕生させることができるからです。
どちらにしても、子どもの内なる要求によって、実際の形としてまたは見えない形として、人形は確かに存在していることになります。
では、なぜウォルドルフ人形?
子どもの心に存在している人型のイメージ、想像力をなるべく邪魔しない実際の形としての人形を考えた時、1世紀程前の哲学者、ルドルフ・シュタイナーの見地では、子どもの想像力の働く余地を残した、健康的なバランスの、良い素材の、その子どものために作られた人形が望ましいということになります。
特に、その子どものために作られた、というのは大切なことです。その子どもにとって身近な大人が手と時間をかけて、形を作り、命を吹き込んでいく作業には大事な意味が含まれます。
単なる技術としての手芸ではない、アートともちがう、子どもの全人格に心を添わせて行われる手の営みの貴さを感じられることと思います。