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シュタイナー教育の視点から
2.132026
シュタイナー教育の視点から No26 「手つきをまねる」

「手つきをまねて身につける」
今年はシュタイナー幼稚園とライアーが生まれて100周年のお祝いの年です。私はライアーを弾いていますが、演奏家という自覚はなく、ライアーの弾き方やライアーについて伝えることが自分の役割と思っています。今までに個人やグループでのたくさんのライアーのレッスンをしてきましたが、そこで感じることがあります。
ライアーを弾くことは音楽をすることでもあるので、多くの人は、楽譜に書かれている音符を弾くことに意識が向かいます。音楽には数学的側面がはっきりあるので、音の高さ、音の長さ、音の強さ、といった数量化できる部分はとても大切。楽譜に記されている音符通りに演奏することによって、その曲が音となって響きます。音を間違えたり、違う長さに弾いたりしてしまったら、その曲にはなりません。
その場合、何を弾くかばかりが意識され、楽譜どおりに間違えないようにと頑張っているうちに指、手、腕に力が入ってしまい、ライアーらしい響きにはなりません。ライアーの場合に大切なのは、どう弾くか。指、手、腕をどのように動かしてその音の弦を振動させるか、そしてそのフレーズのつながりをどう動くかで、それは音作りの部分です。何を弾くかと同時に、あるいはそれ以上に、どう弾くかが大切で、音は合っていてもライアーらしい響きが生まれていないというケースは簡単に起こるのです。
上手にライアーを演奏している人がどのように弾いているか、指や手、腕やライアーの持ち方など、実際の動きを真似してみることを、レッスンに来た人には勧めています。よい動き、弾き方をよく見て、まずは何も考えずに真似するということです。よい動きができるとそのよい動きが「器」となって、ライアーらしいよい音、響き、メロディー、その音楽の本質を奏でることが始まるのです。
これは手仕事にも通じるのではないでしょうか。手仕事が上手な先生の講座に参加しても、何をすればよいかを学ぶだけではだめで、その先生がどのような手つきでその手仕事をするかを見て、真似して、身につけることこそが大切なのです。
どんな素材で、どんな道具を使って、どんな手順でと言ったレシピは重要ですが、それ以上に、どうするかが大切なのです。職人の修行では、親方の指、手、腕、体といった身体の使い方を見て盗んで自分のものにしていくということこそ大切なのだと思います。その模倣の結果、自分らしいやり方が見つかると思いますし、その手仕事の本質、その素材、その道具でこのようにやる理由にも、自ら気づくことができるのでないでしょうか。
私の尊敬しているシュタイナー幼稚園の先生が結び人形を作っているのを見るチャンスがありましたが、彼女の結び人形作りの手つきは、忘れられません。それは、乳幼児にとっての人形とは何か、そして用いている素材の質を熟知した美しい手つきでした。
プロフィール・吉良創 (きらはじめ)
1962年生まれ、自由学園卒。ヴァルドルフ幼稚園教員養成ゼミナール(ドイツ、ヴィッテン)修了。
滝山しおん保育園園長、南沢シュタイナー子ども園理事、日本シュタイナー幼児教育協会理事、ライアー響会代表。国内外でシュタイナー教育、ライアーに関する講座、講演、コンサート、執筆などを行っている。







