シュタイナー教育の視点から

シュタイナー教育の視点から No27 「平和のためにできること?」

「平和のためにできること?」              

 大宇宙(マクロコスモス)と小宇宙(ミクロコスモス)という言葉はみなさんご存知かと思います。小さな人間の中には、大宇宙の本質が内在し、大宇宙そのものがひとりの人間のような在り方をしていて、それは照応しているという観点です。自分のことを知りたければ宇宙全体を見よ、宇宙のことを知りたければ自分自身を見よ、と言われますが、現代社会の中でも、色々なことに気づかせてくれるヒントがあるように思います。

 私がドイツ留学していた時に、湾岸戦争がありました。当時シュタイナー関係の講座で聞いた話を今、思い出しています。そこでは、大宇宙と小宇宙の間に、中宇宙(メゾコスモス)としての「地球」があるという観点が語られました。地球上で起こっている戦争、民族や国の間の争い、政治や経済の問題、環境問題、核と放射能の問題、飢餓や貧困の差なども、地球上の自然界での異常気象、地震、台風、猛暑や寒波、火山の活動なども、大宇宙と小宇宙に照応しているというのです。

ミクロコスモスとしての一人一人の中に、平和、平安、静けさ、あたたかさ、といったものが作り出されるのなら、それはマクロコスモスとしての宇宙全体だけでなく、メゾコスモスとしての地球にも平和、平安、静けさ、あたたかさを作り出せる可能性があるのではないか、という提案でした。

 最近の地球(メゾコスモス)を見てみると、新たな戦争も始まり、民族同士の争いも原子力発電所も無くならず、政治や経済もどうなっているのかという状況です。そして猛暑、豪雨、台風、地震、山火事などの被害も続いています。それらに対し直接、怒り戦うのでなく、ミクロコスモスとしての私たち一人の中に、平和、平安、静けさ、あたたかさを生み出し、維持していくことを、乳幼児期の子どもたちの傍にいる私たちが心がけていけたら、きっとメゾコスモスとしての地球に平和、平安、静けさ、暖かさを生み出すことにつながるのでしょうか。そんなの気休めと言われてしまうかもしれません。しかし、そのような大人の傍でこそ、子どもたちは健やかに育っていけるのではないかと思います。手仕事の手を動かしながら、自分の心や精神に、平和、平安、静けさ、あたたかさを生み出していきたいものです。


プロフィール・吉良創 (きらはじめ)
1962年生まれ、自由学園卒。ヴァルドルフ幼稚園教員養成ゼミナール(ドイツ、ヴィッテン)修了。
滝山しおん保育園園長、南沢シュタイナー子ども園理事、日本シュタイナー幼児教育協会理事、ライアー響会代表。国内外でシュタイナー教育、ライアーに関する講座、講演、コンサート、執筆などを行っている。

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