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シュタイナー教育の視点から
3.172020
「生命力、免疫力を高める生活」シュタイナー教育の視点から No. 4(2020年 号外)
生命力、免疫力を高める生活
新型コロナウイルス感染の拡大の今、実際に感染しないための行動やマスク、消毒などの、具体的な物質レベルでの感染防止対策を、一人一人が行っていくことはとても大切です。しかし同時に私たち一人一人の心や精神のあり方が、生命力、免疫力を高めることに重要です。
シュタイナー教育やアントロポゾフィー医療では「予防医学としての教育」ということがよく言われます。その教育を受けることによって、子どもは健康になるべきだというものです。学校で学ぶことが子どもを健康にするという観点がシュタイナー教育にはあるのです。それは子どもの生命力、免疫力を高めることにつながっています。
では、シュタイナー幼稚園や学校に通っていない場合、そして今のように学校が休校になっている状況で、家庭で何ができるでしょうか。生活のフォルム、リズム、繰り返しについて。
先ず、家庭での子どもとの生活に、フォルム(かたち)を作りましょう。同じものがいつも同じところにある、同じことが同じ場所で行われる、同じ順番で行われるといった生活のフォルムがあると。ご飯の前、寝る前など生活の要所要所にいつもの形があること。いつも同じということがまず大切です。
次に、生活のリズムを作りましょう。無機的な時間割ではなく、呼吸のように緊張と弛緩が繰り返す有機的な生活のリズムです。皆で一緒にする活動と一人でする活動、室外と室内、体をたくさん動かすことと、静かに耳をすませることなど。二つの対極となる質が交互にくると生活に活きたリズムがもたらされます。1日のリズムだけでなく、曜日ごとの活動による週のリズム、そして月や季節の巡りのリズムも取り入れられます。
そして、それを繰り返していきましょう。時計を見て次の活動に移るのではなく、有機的なリズムが大切です。例外はあっても大丈夫。その家庭での生活がそのように形成されると、空間としての家「ハウス」が、その家庭ならではの質を持った家「ホーム」になるのです。ホームの安定、安心感は、子どもたちを落ち着かせ、安心させ、周りの世界への信頼を生み出します。それは自分自身への信頼、自己肯定感を育み、精神や心の健康だけでなく、身体的な健康へも影響を与え、生命力、免疫力も強めていきます。
これは、子どもだけに大切なのではなく、大人にも同様です。事実を事実として客観的に受け止めて、不安に振り回されずに、行うべきことを行えることを自分のこととして行っていきましょう。今、この状況の中、私たちの精神性が問われています。
プロフィール・吉良創 (きらはじめ)
1962年生まれ、自由学園卒。ヴァルドルフ幼稚園教員養成ゼミナール(ドイツ、ヴィッテン)修了。
滝山しおん保育園園長、南沢シュタイナー子ども園理事、日本シュタイナー幼児教育協会理事、ライアー響会代表。国内外でシュタイナー教育、ライアーに関する講座、講演、コンサート、執筆などを行っている。