シュタイナー教育の視点から

シュタイナー教育の視点から No28 「誕生100年 二つのお祝い」

「誕生100年 二つのお祝い」              

 100年前の1926年、この年に私にとって特別な二つの誕生がありました。ドイツのシュトゥットガルトでは最初のシュタイナー幼稚園が開園し、スイスのドルナッハでは最初のライアーが製作されたのです。

エリザベト・M・グルネリウスは、最初のシュタイナー幼稚園の先生。彼女の著書「七歳までの人間教育」(高橋巖・弘子訳 水声社)は、シュタイナー幼児教育の古典的名著です。シュタイナー幼児教育に基本となる大切なことが散りばめられています。幼児と手仕事をしている皆さんには是非手に取っていただきたい本で、お薦めです。1926年に生まれたシュタイナー幼稚園は全世界に広がり、最新のリストでは、70カ国に1981園。それぞれの文化や地域の中で、子どもたちの健やかな成長発達に寄り添っています。

シュタイナーが設計して建てた「ゲーテアヌム」の近くにある障害をもつ子どもの施設の音楽家エドムント・プラハト。ピアノはそこの子どもたちに強すぎると感じ、それに代わる楽器を模索し始めました。グランドピアノから弦だけが残ったようなイメージを持ち、友人のゲーテアヌムで働いていた家具職人で彫刻家ローター・ゲルトナーと一緒に、新しい楽器の製作を試行錯誤し、そこで生まれたのが最初のライアーです。そこからライアーは現在の多様な種類へと発展していき、神話に登場する竪琴(リラ)ではなく、新しい、現代人のための楽器としてのライアーの文化が始まりました。

手仕事をされる皆さんの中にも、キンダーハープやライアーを弾いている方も多いのではないでしょうか。ライアーはシュタイナーの教育、治療教育、音楽療法の領域で発展していきましたが、現在は日本がライアーを弾く人の数が最も多い国となりました。シュタイナー教育などとの関わりがない方たちが、趣味としてライアーを演奏しているのが日本です。

しかしライアーの響きを美しいと感じ、実際に演奏することを始める人が多いということは、日本人の持っている何かと共鳴するところがあるのでないかと感じています。その感覚は、シュタイナー教育や手仕事の素晴らしさを感じて、実践していこうとする感覚との共通点があるのかもしれません。

今年の4月「ゲーテアヌム」には、100周年をお祝いする大会に世界中のシュタイナー幼児教育者が集いました。そして7月末には、ライアー誕生100年を祝う大会が開かれ、世界各国からライアー奏者、製作者などが集います。日本からもたくさんの方が参加します。

100年を迎えたシュタイナー乳幼児教育とライアー、新しい100年に向かって動き出しました。どのように発展していけるか、楽しみです。


プロフィール・吉良創 (きらはじめ)
1962年生まれ、自由学園卒。ヴァルドルフ幼稚園教員養成ゼミナール(ドイツ、ヴィッテン)修了。
滝山しおん保育園園長、南沢シュタイナー子ども園理事、日本シュタイナー幼児教育協会理事、ライアー響会代表。国内外でシュタイナー教育、ライアーに関する講座、講演、コンサート、執筆などを行っている。

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