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シュタイナー教育の視点から
12.172020
「クリスマスの光」シュタイナー教育の視点から No. 7
クリスマスの光
シュタイナー園は、キリスト教保育の園ではありませんが、クリスマスを待つアドヴェントの時期になると、アドヴェントの庭(りんごろうそく)、聖誕劇、ミツロウのろうそく作り、クッキー作りなど、この時期ならではの活動が盛りだくさん。さまざまな活動の中で、子ども達は自然に、クリスマスはマリアとヨセフのもとに赤ちゃんイエスさまがお生まれになった日であることを感じていきます。
日本の街中でもハロウィンのカボチャが消えると同時にクリスマスツリーが登場するようになりました。欧米では「メリークリスマス」と言うかわりに「ハッピーホリデー」と言われ、現代のクリスマスには、キリスト教の祝祭という意味に、冬のお祭りという意味が大きく付け加わってきています。しかしクリスチャンでない人も、クリスマスを楽しみにして、大切な人にプレゼントを用意して、一緒にお祝いしようと思うのには、何か理由があるのではないでしょうか。
クリスマスは冬至の時期の祝祭です。冬至は、一年の中で一番夜が長く、昼が短い日です。闇が一番多く、光が一番少なくなります。夏至はその反対で、光が最も多いときですが、夏至を境に光は少なくなり、秋分で光と闇は同じ量となり、秋分の後は、闇がどんどん増えていきます。冬至はそのターニングポイントで、この日を境に光が増え始めます。これは闇の中の光の誕生ととらえることが出来ます。冬至は光の誕生の日なのです。
聖書には「真の光があって世に来た」と書かれていますが、マリアから生まれた幼子イエスは、すべての人を照らす「光」であり、その「光」の誕生を祝うのがクリスマスです。「すべての人」とは文字通りすべての人と受け取ってよいと思います。また、光を宿した「マリア」を私たちの「心」と解釈してみると、私たちの「心」に「光」が宿り、それが誕生するのが、クリスマスとも捉えられます。毎年冬が来て冬至を迎えると、私たちの心の中に「光」が生まれるのです。あるいは私たちの心の中に「光」があることを再確認する。クリスマスにはそんな意味もあるのではないでしょうか。
そして「光」は留まっていられません。私たちの心の中の「光」は、温かい愛の熱を伴って、外へと流れ出していきます。クリスマスに大切な人にプレゼントをしたり、寄付や献金をしたりするのは、きっとそのあらわれなのだと思います。クリスマスに子どもに届く皆様の愛のこもった手作りのお人形も、「光」の誕生と関係があるのです。コロナの特別な年のクリスマス、一人一人の心に光の誕生が体験できたら素晴らしいと思います。(ご興味のある方は、「南沢シュタイナー子ども園のアドヴェントとクリスマス」吉良創著、南沢シュタイナー子ども園刊をどうぞお読みください。)
プロフィール・吉良創 (きらはじめ)
1962年生まれ、自由学園卒。ヴァルドルフ幼稚園教員養成ゼミナール(ドイツ、ヴィッテン)修了。
滝山しおん保育園園長、南沢シュタイナー子ども園理事、日本シュタイナー幼児教育協会理事、ライアー響会代表。国内外でシュタイナー教育、ライアーに関する講座、講演、コンサート、執筆などを行っている。